こんなこと考えて仕事しています
	大久保佐和子
弁護士になった直後の、忘れられない相談があります。離婚した元夫が養育費を支払ってくれないのでどうしたらよいかというものでした。相談者の方は育ち盛りのお子さん二人とともに生活をしており、仕事から得られる収入が低く、生活保護を受給していました。当時、生活保護受給世帯のうち母子家庭に支給されてきた母子加算が廃止されることが決まったばかりでした。相談が一通り終わり、そのことに話が及んだ時、相談者の方は言いました。「国に殺される気がする…」。母子加算廃止という国の政策が、懸命に生きる親子をこんなにまで追い込んでいる現実を目の当たりにしました。 　相談をお聞きするなかで、その個別の事案だけでなく背後にある社会的問題を解決しなければならないと痛感させられる場面が少なくありません。 　相談者お一人お一人に丁寧に向き合い、ともに解決へ向けて歩むこと、そしてその背後にある多くの社会問題の改善・解決へ向けて、自分のできる小さな一歩を踏み出すこと、このことを指針にして事件に活動に取り組みたいと思っています。