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 ■事務所ニュース「あかしあ」第10号コラム■

敗戦70年 そして憲法の今
弁護士 平山知子
 過激組織IS(「イスラム国」)に、日本人2人が殺害されるという悲惨な事件が起こりました。ISの残虐なテロを絶対に許せないことはいうまでもありません。しかしこのことについて、安倍政権の責任を問題にしようという言論が封じられているように思います。これは戦争への道の危険な翼賛体制だという気がして、とても恐ろしいことです。
 ISがなぜ生まれたかをたどっていくと、アメリカの大義なきアフガン・イラク戦争に行き着きます。この間違った戦争にいち早く追随した自民党小泉政権から現安倍政権までの責任はとても大きなものがあります。日本は、確かに平和憲法があることにより、直接これらの戦争で「戦闘」は行ってきませんでした。でも日本にある米軍基地からは直接兵隊も武器も送られていました。あのイラクのファルージャという街を殺戮したアメリカの海兵隊は沖縄で訓練を受け、物資は沖縄からヘリコプターで運ばれました。そのヘリが沖縄国際大学に墜落したといわれています。米軍基地の存在自体が憲法違反なのです。その上、安倍政権は、アメリカと共に、自衛隊が海外での戦争に出て行くことができるように、集団的自衛権を認め、さらには憲法の明文改悪まで企んでいます。
 今沖縄・辺野古の美しい海に巨大な米軍基地が建設されようとしています。これ以上、米軍基地は作らせないという「オール沖縄」の力が、昨年来の沖縄県知事選・衆議院選挙ではっきりと示されました。この動きを、日本全土のものとしていきたいと思います。
 敗戦から70年。あの悲惨な戦争の焼け跡から、日本国民がようやくわが手に得た平和憲法の立場を堅持して、各国との平和外交に徹していくこと、これこそがテロをなくしていく道にもつながると私は確信しています。
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事件報告「カフェ・ベローチェ事件」
弁護士 大久保佐和子
 事務所の入るビルの1階にカフェ・ベローチェというコーヒーショップがあります。利用されたことがある方もいるのではないでしょうか。
 Aさんは、カフェ・ベローチェ千葉店のオープニングアルバイトスタッフとして株式会社シャノアールに入社しました。自分のスキルを上げ、店を少しでも良くしたいと仕事に打ち込み、やがて時間帯責任者として他の従業員に指示しながら店を切りまわすというポジションへ。やりがいを感じて働いていました。大学卒業時にいったん退職しますが、再び入社。その後半だけでも約5年間、契約更新を19回繰り返しました。
 ところが、2012年3月、突然に会社から2013年3月で契約更新はしないと告げられます。上司から言われた理由は「法律の改正に伴うこと」の一言だけ。
 その後Aさんは、労働契約法の改正により有期雇用労働者が通算5年勤務し続けると無期雇用契約に転換できるという法律が成立しようとしていること、これに伴い、5年に到達する前に有期雇用労働者の雇止めが続出する懸念があることを新聞記事で知りました。自分が大きな問題に突き当たっていると悟ったAさんは労働組合に入り会社相手に団体交渉を始めます。
 交渉の末、今までどおり更新回数の上限なく契約を続けると約束させましたが、その後会社側がこれを一方的に撤回しAさんの雇止めを断行します。
 さらには、雇止めの理由として「従業員は定期的に入れ替わって若返った方がいい」「うちの会社ではこれを『鮮度』と呼んでいる」との発言まで飛び出しました。人格を軽んじる会社のこうした発言・態度にAさんは訴訟を決意。会社が強行した雇止めが無効であってAさんが社員たる地位を有することの確認等を求めて会社を相手に提訴し、人間らしく働きたい、人としての尊厳をもって働きたい、そんなあたりまえの思いを法廷の内外で語ってきました。裁判は3月20日弁論終結し、和解が成立しなければ判決へ進みます。
 「ブラック企業」という言葉がすっかり定着してしまった日本社会。一人ひとりが大切にされる労働現場が一つでも多く広がってほしいと願い、こういった労働事件にも取り組んでいます。
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悩ましい日々
行政書士 赤川 理恵
 夫との関係、親の介護、子どもの問題などいろいろな相談を受けながら、「家族って意外にやっかいなものだな」と言ったフィンランドの妖精ムーミンパパの言葉に共感する思いです。
 私自身も米寿を迎えた実母と同居しながら、介護についてあれこれと頭の中で格闘している毎日です。親を見送った先輩からは、「どんなに介護しても、またはしなくても、これでよかったのか?という思いは残るものだよ」と聞かされています。
 「今すぐに答えを見つける必要なんかないんじゃないのか?本当に大切にするべき想いが見つかるまで、いくらでももがき苦しんで迷い続けたっていいだろう。悩んで考え続けることを迷わない」。これは、小説『刑事の約束』(薬丸岳 著)の中の言葉ですが、なかなか名言だと心に残りました。『悩む力』(姜尚中 著)という本もありますが、「女子力」「老人力」「孤独力」など、言葉に「力」をつけただけで、少し励まされるような、前向き思考になる感じがします。
 さて、大切な人を想うが故の悩みはつきないものの、その原因の一端に「格差社会」や「福祉切り捨て」など、社会制度のゆがみや現代の貧困も大きく影響しています。介護報酬切り下げで、老人施設の建設中止や、事業所閉鎖の危機が広がっています。経済成長しているのなら、私たちの生活がもっと豊かになるように、「選挙力」で、政治を変えていきたいですね。「主権者力」(ピープルズパワー)とともに人を思いやる「共感力」が大切だと感じています。
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